JP7VTFの落書き帳

回路の実験、移動運用の記録などをわかりにくく書きます。

2020年度上半期の活動

 昨年末を最後に久しくブログの更新を行っていませんでしたが、アマチュア無線関連で最近いろいろと進展がありましたので簡単に記録しておこうかと思います。複数の記事を書くのは面倒くさいのでダイジェスト形式でまとめました。

1. 4月~5月 「コロナ休暇」

 2019年の末から現在に至るまで新型コロナウイルスが世界的に大流行しています。3月末から4月というのは日本国内で流行の兆しが見え始め、企業や学校が休業や休校の措置を取り始めたころでしょうか。僕の通っている大学も例に漏れず、キャンパス内への立ち入りが原則禁止となり、授業はオンラインで受講する形式となりました。通常だと授業がないときはほとんどの時間を研究活動に費やすのですが、僕の研究は実験系であるため、これまでの成果をまとめることぐらいしかできません。この暇な時間をどうしようかと考え、個人コールで運用をしてみるかと思い立ちました。  というのも、昨年の8月に144 MHz/430 MHzのデュアルバンドハンディトランシーバで開局し、「JP7VTF」のコールサインを割り当てられたものの、個人コールではほとんど無線運用を行っていませんでした。これまではJARLに加入していなかったので、加入の申請を行いました。  個人コールで初の交信はオール東北コンテスト。5 Wハンディ機で参加しましたが、東北でも144/430 MHzである程度人がいるんだなあと少々驚きました。これまでは、東北と関東の際に行って関東の局とばかり交信していたので東北の状況を知らなかったわけです。

2. 6月~7月 アマチュア無線部の部誌に投稿

 さて、大学に行けないとなると大変なのが新入部員の勧誘です。例年は部員扮するキャッチのお兄さんがビラを配りながら甘い文句で新入生を誘い、何とか部員を入れていたのですが、今年はそうはいきません。授業がオンラインになりましたが、新入生勧誘もオンラインになります。ここのところの大学クラブでは活動実績をインターネットなどで公開するようなことはあまりしていなかったので、新入生にわかりやすい判断材料がないぞという話になりました。そこで、部誌を発行しホームページで公表しようという話になり、各々の部員が記事を書くことになりました。  僕は1年ほど前から135 kHz帯での運用を行いたいというおもいがあり、自作の送信機を製作していたのでそれを記事にすることにしました。135 kHz帯というのはアマチュア無線で運用できるバンドとしては最も波長が長く、長波帯に属しています。運用を行うにはアンテナが必要となりますが、2200 mという波長の電波を放射アンテナというのは非常に巨大なものになり、いろいろと考えなければなりません。そこで、アンテナについてはクラブ局の同期にお願いして作ってもらうことにしました。これらについてまとめた内容は以下のURLに公開してありますので、もしご興味があればご参照ください。送信機は形になりましたが、アンテナについてはまだ実験を行っておりません。今年中に部誌の第2号が発行されるのでそちらに続報を乗せたいと考えています。

http://www.ja7yaa.org.tohoku.ac.jp/contents/bushi2020.pdf

3. 8月 ローカルさんと移動運用

 学部生には1ヶ月半のながーい夏休みがありますが、僕のような大学院生には1週間程度のお盆やすみしかありません。いつもですと実家に帰省するのですが、こんなご時世ですので仙台市のアパートに1週間こもっている予定でした。  そんな折に、大学のクラブ局の後輩の知り合いのローカルさんからお盆中に移動運用のお誘いをいただ来ました。寝てるだけのお盆休みになるはずだったので非常にありがたい話です。なんと2回もお誘いいただき、1回目は七ヶ浜町、2回目は丸森町から移動運用を行いました。以下の写真はその時のものです。

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丸森町次郎太郎山中腹より

 なお、この方にはお盆が終わった次の週には宮城蔵王刈田岳での移動運用までお誘いいただきました。すいません、お世話になってばかりで...... 無線運用の方ですが、個人コールでは初となる0エリアとの交信も実現しました。また、山頂駐車場では大崎市アマチュア無線家の方とアイボールできました。直接手渡しでQSLカードを2枚いただいたのですが、どちらもかっこいいカードでした。僕も次はあんな感じのカードにしようかな。  さらにさらに、山頂駐車場ではJA7YABの現役部員の方ともアイボールできました。他大学のアマチュア無線部員の方とアイボールしたのは今回が初めてです。アワードの話やYABの状況dなどいろいろな話が聞けて非常に楽しかったです!

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刈田岳山頂より御釜を眺める

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不動滝。蔵王エコーラインの途中の展望台より。

4. まとめ

 半年間記事を書くのをさぼっていた分、このような感じで上半期の活動をまとめました。新たな出会いがたくさんあり、皆さんに懇意にしていただいたこともあって、非常に充実した楽しい半年だったように思います。

2019年の振り返りと2020年の抱負

年の瀬ということで、当局の今年の活動について振り返り、来年の抱負について考えたいと思います。最近は一切記事を描けていないので記事の本数稼ぎという意味でも、ちょうどいいかなと思うところです。今回は、「社団局での活動」、「個人局での活動」、「電子工作・無線機の自作」の3つの観点から振り返りと来年の抱負について考えます。 [:contents]

1. 社団局での活動

実は私は大学の社団局に所属しておりまして、一応、細々と活動を行っております。2019年の活動内容としては、新入生への新歓、移動運用(コンテスト)×数回、まれに部室で交信などといったところです。昨年は勉強会なんかもしてたんですけどね......そういう気力もなく、グダグダな感じでしょうか。 今年、社団局としてエントリーした大会としては、6m and Downコンテスト、Field Dayコンテストです。順位はまあ......はい。来年はもう少し上の順位があってもいいかなと思っているところではあります。順位があった方が箔が付きますし、新入生を勧誘する時も「うちの大学は全国○位なんだ」とか言えますしね。

2. 個人局としての交信

章立てとして一応「個人極としての交信」とは書きましたが、実際交信はほとんど行っていないんですよね......うん。そもそもJARLにまだ入っていない。「加入しなきゃ......でも今月お金がきついんだよなあ、年会費払えねえなあ、来月にしよう」と毎月思っていたらいつの間にか2019年が終わってしまった次第ですね。来年は入ります、たぶん。 あと、「低めの山に登って運用するのも楽しそうだな」と思って、今年の夏はハイキングに出かけてたりもしました。主に太白山鎌倉山などに登りに行きました。太白山なんかは毎週末に登ってた月もありました、運用はしていませんが......「無線しなくても登るだけで楽しいなあ」とか思ってたので。

jp7vtf.hatenablog.com

来年の抱負としては「JARLに入ってほどほどに交信する」です。これ以上でもこれ以下でもないです。今年1年なにやってたのやら。

3. 電子工作・無線機の自作

私がアマチュア無線を始めた最大の理由は「無線機の自作」をしたいというところにありました。そんなわけで、一番力を入れているところでもあります。現在手を付けているものとしては、3.5 MHz帯 CWトランシーバです。3.5 MHz帯 CWトランシーバについては前回、掲載したとおり送信側のE級アンプの実験を行ったところです。現在はキーシェイプ回路やLPFの製作も終わっており、送信側はほぼ完成している状態です。受信側も完成したところで掲載したいところですが、いつ完成するやら......早急に進めます。

jp7vtf.hatenablog.com

来年の抱負としては、今手をつけているものを完成させるといったところです。私の通っている大学では、新入生の入部勧誘活動として、4月に他サークルと合同で新歓イベントを開催しています。例年そのイベントでは、実際に交信を行っているところや所有している測定機、制作物を展示してアマチュア無線部を知ってもらおうという活動をしています。できれば、そのイベントに間に合わせて自作トランシーバの展示ができればと考えています。

4. まとめ

1年を振り返ってみると、自分の無気力具合がよく分かります。来年はがんばりたいですね、自信ないですが、来年はがんばります...... 私事はおいておきまして、本年はどうもありがとうございました。来年もよろしくお願いします。みなさま、良いお年をお過ごしください。

3.5 MHz 5W シングルエンドE級アンプの実験

現在、当局では3.5 MHz CWトランシーバの製作を進めています。今回、終段増幅器となる5 WシングルエンドE級アンプについて実験を行ったので記します。

1.回路定数の決定

E級アンプの設計式・設計法には様々なものがあります。以前の記事1では、負荷電流は基本波のみであるという近似を元にした計算式について記しました。しかしながら、この式を用いて設計を行うと、私の実験の範囲では、出力電力が要求値に比べ小さくなる傾向にあるようです。そこで、今回は他の文献に示される定数表2を用いて設計を行うことにしました。先に示した計算式は負荷電流は基本波のみであるという大胆な近似を導入して得られた式であるのに対して、後に示したものは数値解析により求めた回路定数を用いて設計を行うものとなっております。 今回は文献2の"Table 1"において、Q_L=3の値を用いて設計を行いました。表中の値について、各回路定数について解くと以下が得られます。なお、回路定数を表す文字は図1のように定義されており、出力電力をP、周波数をfとしています。

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図1:シングルエンドE級アンプ

\begin{align}
R &= 0.46453 \times \frac{{(V_{cc} - V_0)}^2}{P} \tag{1} \\
C_1 &= 0.21834 \times \frac{1}{2 \pi f R} \tag{2} \\
C_2 &= 0.63457 \times \frac{1}{2 \pi f R} \tag{3} \\
L &= \frac{R Q_L}{2 \pi f} \tag{4} \\
\end{align}

さて、出力電力をP=5~\mathrm{W}、周波数をf=3.6~\mathrm{MHz}、電源電圧をV_{cc}=12~\mathrm{V}とすると、以下の計算値が得られます。なお、今回はFETを使う予定ですので、V_0は0として計算できます。

\begin{align}
R &= 0.46453 \times \frac{{(V_{cc} - V_0)}^2}{P} \\
&= 0.46453 \times \frac{{(12-0)}^2}{5} \\
& \approxeq 13.4~\mathrm{\Omega} \\

C_1 &= 0.21834 \times \frac{1}{2 \pi f R} \\
&= 0.21834 \times \frac{1}{2 \pi \times 3.6 \times {10}^6 \times 13.4 } \\
& \approxeq 720~\mathrm{pF}\\

C_2 &= 0.63457 \times \frac{1}{2 \pi f R} \\
&= 0.63457 \times \frac{1}{2 \pi \times 3.6 \times {10}^6 \times 13.4 }\\
& \approxeq 2093~\mathrm{pF} \\

L &= \frac{R Q_L}{2 \pi f} \\
&= \frac{13.4 \times 3}{2 \pi \times 3.6 \times {10}^6} \\
& \approxeq 1.77~\mathrm{\mu H}
\end{align}

また、E級アンプ側から見ると負荷抵抗が\mathrm{13.4~\Omega}となるようにトランスを用いてインピーダンス変換を行う必要があります。インピーダンス変換トランスの巻数は下式を満たします。

\begin{align}
{n_1}^2 : {n_2}^2 &= 13.4 : 50 \tag{4}
\end{align}

n_2について解くと下式となります。

\begin{align}
n_2 &= n_1 \sqrt{\frac{50}{13.4}}~\mathrm{[turn]}\tag{5}
\end{align}

今回はトランスのコアとしてFT-50-43を使うことにしたのですが、このトランスに巻けそうな巻数としては、n_1=5としたとき、

\begin{align}
n_2 &= 5 \times \sqrt{\frac{50}{13.4}} \\
& \approxeq 10~\mathrm{turn}
\end{align}

があります。

2.実装と測定結果

今回は手持ちの部品を用いて実験を行いました。図2に回路図を示します。スイッチング素子としては東芝セミコンダクターの2SK4017(秋月電子で30円3)を用いました。ゲートドライブには74HC04を用いています。また、L_1としては100~\mathrm{\mu H}チョークコイルL_2としては単三電池に1~\mathrm{mm}の銅線を13回巻き付けた空芯コイルを用いています。コンデンサについては抜き差しができるようにピンヘッダを介して実装しています(3.5 MHzくらいなら配線による影響は少ないかな、という判断から)。

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図2:回路図

参考文献2の設計を用いても、測定値がぴったり要求値通りにはならず、調整が必要となります。このため、C_1C_2については、MOSFETのドレイン電圧の調整や出力電力を調整した結果C_1=920~\mathrm{pF}C_2=1800~\mathrm{pF}が最適値となりました。L_2についてもコイル長を調整しています。実際に作成した回路を図3に示します。

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図3:実際に作成した回路

図4に最適化後のドレイン電圧、負荷抵抗電圧のオシロスコープ観測波形を示します。ドレイン電圧を見ると典型的なE級アンプのドレイン電圧波形に近いように思われます。また負荷抵抗電圧は正弦波的になっています。

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図4:オシロスコープ観測結果(ch1:ドレイン電圧波形、ch2:負荷抵抗電圧波形)

加えて、図5に20~\mathrm{dB}減衰後の出力電力のスペクトルを示します。今回はLPFを入れずに観測を行っているため、高調波成分が目立ちます。

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図5:スペクトル観測結果

なお、市販のSWR/パワーメータを用いて出力電力を測定したところ5~\mathrm{W}の出力が得られました。

3.今後の課題

E級アンプを運用するにあたっては、その高調波が問題となります。今回の実験では出力にLPFを挿入しなかったため、負荷抵抗に出力される高調波成分が大きくなりました。今後はLPFを用いて高調波の抑制を図ります。

4.まとめ

  • 3.5~\mathrm{MHz}シングルエンドE級アンプの試作を行ない、5~\mathrm{W}の出力に成功した。
  • E級アンプに負荷を直接つないだ場合、高調波成分が大きいことを確認した。
  • 次の実験ではLPFを挿入し高調波の抑制を図る予定である。

5.参考文献・ページ

トロイダルコアのAL値・AT値

本ページではトロイダルコアを用いてインダクタを設計するうえで使用する指標であるAL値およびAT値について記します。AL値は巻数の自乗あたりのインダクタンスを表します。またAT値は加えることのできる起磁力を表します。AT値、AL値を用いると、トロイダルコアの寸法値や透磁率を用いることなくインダクタを設計することが可能になります。なお、この内容は参考文献1からAL値、AT値の内容についてをまとめたものです。

1. 理論的な計算式

初めに計算に用いるトロイダルコアのモデルを示します。図1において、コアの内径をa、コアの外径をb、コアの厚みをt、巻き数をNとします。また、コアの中心から半径rの円周を図中の向きでたどる経路を経路Cと定義します。電磁気量として、真空中の透磁率\mu_0、比透磁率\mu_r、巻線を流れる電流をI、経路C方向の磁束密度をB、磁界をH、コア内の磁束を\phi、コイルと鎖交する磁束を\Phiとします。

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図1:使用するモデル

経路Cにおいてアンペールの法則を適用すると(1)式が成り立ち、HBを求められます。

\begin{align}
\oint_C H\mathrm{d} l &= NI \\
2 \pi r H &= NI \\
H &= \frac{NI}{2 \pi r} \tag{1} \\
B &= \mu_r \mu_0 H \\
&= \frac{\mu_r \mu_0 NI}{2 \pi r} \tag{2}
\end{align}

1.1 AL値の導出

経路Cの方向の磁束\phiは(2)式より(3)式で表わされます。

\begin{align}
\phi &= \int_{0}^{t} \int_{a}^{b} B \mathrm{d} r \mathrm{d} \tau \\
&= \frac{\mu_r \mu_0 NIt}{2 \pi} \int_{a}^{b} \frac{\mathrm{d}r}{r} \\
&= \frac{\mu_r \mu_0 NIt}{2 \pi} \left[ \mathrm{ln} |r| \right]_{a}^{b} \\
&= \frac{\mu_r \mu_0 NIt}{2 \pi} \mathrm{ln}\frac{b}{a} \tag{3}
\end{align}

このトロイダルコアのインダクタンスLは、定義より(4)式となります。

\begin{align}
L &= \frac{\Phi}{I} \\
&= \frac{N \phi}{I} \\
&= \left( \frac{\mu_r \mu_0 t}{2 \pi} \mathrm{ln}\frac{b}{a} \right) N^2 \tag{4}
\end{align}

ところで、AL値A_Lは以下の式のように定義されます。

\begin{align}
L &= A_L N^2 \tag{5}
\end{align}

(4)式と(5)式を比較すると、

\begin{align}
A_L &= \frac{\mu_r \mu_0 t}{2 \pi} \mathrm{ln}\frac{b}{a} \tag{6}
\end{align}

となり、トロイダルコアのAL値が求まります。

1.2 AT値の導出

実際の磁性体では、磁界Hの増加に対し磁束密度Bの増加量は飽和していきます(磁気飽和)。(6)式では比透磁率\mu_rを定数と仮定しており、磁気飽和が生じていない領域において成り立ちます。すなわち、コア内の磁束密度は飽和磁束密度以下であるときに(6)式が成り立ちます。

コア内の磁束密度はコア中心からの半径に依存し、半径が最も小さい時に磁束密度は最大となります。これは、r=aとなるときであり、この時の磁束密度B_{max}

\begin{align}
B_{max} &= \mu_r \mu_0 \frac{NI}{2 \pi a} \tag{7}
\end{align}

磁束密度B_{max}は起磁力NIに比例することから、NIには磁気飽和が生じない上限値が存在します。起磁力の上限値についてNI = \left(NI\right)_{max}、この時の磁束密度は飽和磁束密度に等しいことからB_{max} = B_{sat}と置くと以下が成り立ちます。

\begin{align}
B_{sat} &= \mu_r \mu_0 \frac{\left(NI\right)_{max}}{2 \pi a} \\
\therefore \left(NI\right)_{max} &= \frac{2 \pi a B_{sat}}{\mu_r \mu_0} \tag{8}
\end{align}

このときの\left(NI\right)_{max}をAT値と呼び、このトロイダルコアに加えることのできる起磁力の上限を示す指標となります。

2. 実際の値

ここでは例として、アミドン社のFT-50(#43)について計算を行ってみます。アミドン社のトロイダルコアのAL値、AT値について計算された表が参考文献1に詳しく記載されていますので、詳しくはそちらを参照してください。なお、この文献の巻中の表では組成の異なる各材料のB-H曲線から読み取った飽和磁束密度で、巻末の表では組成に依らずフェライトコアの飽和磁束密度を0.1~\mathrm{T}一定として計算されています。巻末の表に関しては、どの組成の材料においても飽和磁束密度がだいたい0.1~\mathrm{T}くらいになるため、一定にしているものと思われます。

FT-50の寸法は、内径2a=7.15~\mathrm{mm}、外径2b=12.7~\mathrm{mm}、厚さt=4.9~\mathrm{mm}となります。また、比透磁率\mu_r=850であり、真空中の透磁率\mu_0=4 \pi \times 10^{-7} ~ \mathrm{H/m}を合わせて代入すると、

\begin{align}
A_L &= \frac{\mu_r \mu_0 t}{2 \pi} \mathrm{ln}\frac{b}{a} \\
    &= \frac{850 \times \left(4 \pi \times 10^{-7} \right) \times \left(4.9 \times 10^{-3} \right)}{2 \pi} \mathrm{ln}\frac{\left(12.7 \times 10^{-3} \right)/2}{\left(7.15 \times 10^{-3} \right)/2} \\
& \cong 478.5~\mathrm{nH/turn^2}
\end{align}

となります。飽和磁束密度をB_{sat}=0.1~\mathrm{T}とすると、

\begin{align}
\left(NI\right)_{max} &= \frac{2 \pi a B_{sat}}{\mu_r \mu_0} \\
&= \frac{2 \pi \times \left(7.15 \times 10^{-3} \right) / 2 \times 0.1}{850 \times 4 \pi \times 10^{-7}} \\
& \cong 2.10 ~\mathrm{A \cdot turn}
\end{align}

となります。

3. まとめ

本ページではAT値、AL値の算出法についてまとめました。なお、実際のコアのAT値、AL値についてはばらつきがあるため、より厳密にインダクタンスの値を定めたい場合は測定しながら巻線を巻く必要があります。

4. 参考文献


  1. 山村英穂:“トロイダル・コア活用百科”, pp14-59, CQ出版社(1983)

鎌倉山(仙台市青葉区作並)に登ってきました

鎌倉山は作並街道(国道48号)沿いにある標高520 mの山です(写真1)。山の麓には作並駅ニッカウヰスキー仙台工場宮城峡蒸溜所があります。2019年9月15日に移動運用&日々の運動不足解消を兼ねて鎌倉山登山に行ってきました。意外とあっさり登れてしまい、体力と気力が意外と残っていたので、その足で宮城峡蒸溜所の見学にも行ってきました。

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写真1:国道48号から見た鎌倉山

山頂までの行程

私は仙台住まいですので、仙台からの行程となります。国道48号を山形方面に進むと正面に鎌倉山が見えてきます。「鎌倉山(ゴリラ山)」という看板も立っているので容易に分かると思います。そのまま進むと山は右側にそれていき、山の横を少し通り過ぎると道の左にもしもしピットがあるのでここに車を止めると良いようです(写真2)。

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写真2:もしもしピット

車から降りたら、国道48号を渡った後に仙台方面に向かって歩きます。数百メートル歩くと、一軒家がぽつんとあります。この一軒家に向かって進むと、一軒家の敷地に入る直前に左側に入る道があります。私が行った時は草が生い茂っており、わかりにくかったです。さて、この草ボーボーのあぜ道を進んでいくと仙山線の線路と交差しますので、ここを注意して渡ります(写真3)。

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写真3:踏切

線路を渡り、道なり(左側)に進んでいきます。こんな感じの道です(写真4)。草生えすぎて大草原不可避。

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写真4:線路を超えた後の道

国道48号を眺めるとこんな感じです(写真5)。

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写真5:国道48号を眺めて

トボトボ歩いていくとだんだん林の中に入っていきます(写真6)。

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写真6:林の中へ

道は結構ぬかるんでいるので注意して進みました。途中の水たまりにはあめんぼやオタマジャクシがたくさん(写真7)。

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写真7:道の途中の水たまり

1 kmは行きませんが、そこそこ歩くとやっと登山道の入口です(写真8)。

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写真8:登山道入口

道の左下に沢が見えます(写真9)。

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写真9:道の下には沢が見える

倒木があります(写真10)。

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写真10:倒木

道なりに進むと、「伝説天沼」が前方左側に見えてきます(写真11,12)。沼の真横を通る道と、右手側の斜面に登っていく道の2つがあるようですが、斜面に登る道の方が道筋がきれいだったのでこちらを登ることにしました。

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写真11:伝説天沼の表式

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写真12:伝説天沼

リボンや木にペンキで書かれた矢印があるので、それらをたどりながら進んでいきます。途中、わかりにくいところがあるので注意しながら進みました。わかりにくそうなところは写真を撮っておいたのですが、後で見返してみると、その写真もわかりにくい(笑)。間際らしいので掲載はしません。

窪地のようなところを進んでいきます(写真13)。ここにも倒木(写真14)。

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写真13:窪地。雨天時には雨水はここを流れるのだろうか

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写真14:度々倒木

グイグイ進んでいきます。ある程度まで登ってくると、ゴツゴツと岩が出てきだします。山頂に至る最後のアプローチでは、岩肌の斜面をロープ伝いに登ります。そんなに大変ではありませんが、山頂目指してひたすら登っていたので、写真を撮るのを忘れてました(笑)。そんなこんなで山頂に到着です(写真15)。山頂からの景色はこんな感じ(写真16)。下側にニッカウヰスキー仙台工場宮城峡蒸溜所が見えます。

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写真15:山頂。標識も山の形をしている

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写真16:山頂からの眺め。赤レンガの建物はニッカウヰスキー仙台工場宮城峡蒸溜所

実は山頂の先にも少し道が続いていて、そこを下っていくと岩の突き出した場所に出ます。ここで滑ったら下まで真っ逆さまなので慎重に下ります。景色はこちらの方がよいですね(写真17)。

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写真17:岩の手前からのパノラマ

さて、今回の登山の目的はアマチュア無線の移動運用でした。ただ、景色に見とれていて無線のことはすっかり忘れていました。まあ、次回の楽しみということにしておきます。

実は、山頂付近で他の登山グループの方々とご一緒させていただきました。登山学校で同期だった方々が定期的に集まって登山をされているそうです。おにぎりやナス漬、お菓子などいろいろとごちそうになってしまいました。とてもおいしかったです。ごちそうさまでした。いろいろとお話を伺いましたが、グループで登山というのも楽しいだろうなあ、と思った次第です。

下山については、道のぬかるみや滑りやすさから少し注意が必要でしたが、特にインシデントもありませんでした。登りも下りも1時間かからず、気軽に登れる山でした。

ニッカウヰスキー仙台工場宮城峡蒸溜所

意外とあっさり登れてしまい気力と体力が残っていたので麓のニッカウヰスキー仙台工場宮城峡蒸溜所も見学してきました。実は私は小学生の時にも見学に来たことがあるので、だいたい15年ぶりといったところでしょうか。構内からは先ほど登ってきた鎌倉山が見えます(写真18)。

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写真18:ニッカウヰスキー仙台工場から見た鎌倉山

ガイドさんから説明を受けつつ構内を見学しました。初めは大麦麦芽の乾燥に用いていたキルン塔(写真19)。

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写真19:キルン塔

他にもいろいろ説明を受けたけど写真撮り忘れてたのでいろいろと飛ばしてポットスチル(写真20)。しめ縄がいい感じです。

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写真20:ポットスチル。しめ縄に注目

熟成に使う樽(写真21)。

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写真21:樽

さて、この後には試飲会があり、種類の異なるウィスキーを1杯ずつ試飲できます。ただ、私は原チャリできているの残念ながらジュースとお茶しか飲めません。バヤリースオレンジと十六茶を飲んできました。まあ、よく知ってる味です。試飲できないのは悔しいところですので、自分へのお土産として、シングルモルト 宮城峡とスーパーニッカのミニチュアボトルを買ってきました(写真22)。かわいい。まあ、デカいのを買っても全部飲めるか不安なので。シングルモルト 宮城峡はスーパーニッカに比べて香りがフルーティーですね。

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写真22:ミニチュアボトル

まとめ

はじめまして

はじめまして、JP7VTFと申します。「JP7VTFの実験ノート」と題しましてブログを開設しました。どうぞよろしくお願いします。このページではわたくしJP7VTFの自己紹介と本ブログの今後の方針について示したいと思います。

自己紹介

宮城県仙台市在住の理系大学生です。大学での専攻はRFではありませんが、趣味でアマチュア無線をやってます。一応1アマです(モールスは全然ダメなので実質4アマです)。元々、趣味で電子工作をやっており、「次は高周波回路を自作してみたい」と思ったのでアマチュア無線の従事者免許を取得した次第です。従事者免許しか持っておらず、運用については社団局でのみ行っていましたが、この度144 MHz/430 MHzデュアルバンドのハンディー機を購入し、コールサインJP7VTFを取得しました。

本ブログの内容について

もともとは無線機を作ってみたかったことからアマチュア無線に入門しました。そこで、本ブログでは無線機を自作するにあたっての過程などを公開できればと思っています。現在は3.5 MHz/3.8 MHz帯 QRP CWトランシーバの開発を行っていますので、その辺りについてまとめたいと思っています。その後はより高い周波数帯へとシフトできればと思っています。

リグの自作以外にも移動運用についてもまとめたいと考えています。最近、山歩きを始めまして、週末は仙台市内の里山通いをしています。山頂での移動運用の記録についても公開できればと考えています。ただ、まだJARL加入の申請をやっていないので、移動運用は少し先になりそうです。

まとめ

本ページではJP7VTFの自己紹介と本ブログの方針について示しました。上記に示した方針について完遂できるのか怪しいところではありますが、一生懸命頑張る次第ですので、暖かい目で見守っていただければと思います。